現在のMINIはBMWのブランドだということが意外に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつは元々MINIはBMWのブランドではなく、ローバー社の買収に伴い、BMW MINIとして生まれ変わったという経緯があります。
この記事では、現在はBMW MINIブランドとなった「MINI」の移り変わりや、当時のコンセプトについてご紹介いたします。
BMW MINIの特徴
まずはBMW MINIの特徴をご紹介していきます。
なんと言っても一番の特徴は、ローバーMINIから引き継がれた伝統的なデザインコンセプト。
お洒落でクラシカルな雰囲気を持ちながら、現代的な曲線も組み合わされており、古さを感じさせないスタイリッシュな見た目になっています。
また、「プレミアムスモールカー」としての位置付けで登場したBMW MINIは、内装にも随所にこだわりが散りばめられています。
エアコンルーバーやドアハンドルには、クラシックMINI時代から採用されている円形を引き継いでいることに加え、BMWらしい高級感のある上質なシートも採用。
さらに、BMWが培ってきた先進的なシステムも装備されています。
「アクティブ・クルーズ・コントロール」や「ダイナミック・スタビリティ・コントロール」などのドライビング・アシストの搭載や、専用アプリをダウンロードすれば、離れた位置からドアの開閉やエアコンのスイッチ操作なども行える便利機能も搭載。
これまでのMINIの伝統と現代技術が融合した新しいBMW MINIとして、ドライバーを快適なドライブに導いてくれます。
MINIのメーカー企業の歴史
60年以上の歴史を持つMINI。現在もBMW MINIとして販売が続けられていますが、これまでに大きく3社の企業に受け継がれてきました。
初代のクラシックMINIを発売したBMC(ブリティッシュモーターコーポレーション)は、1986年にはローバー社へと名前を変更。
やがてローバー社はBMWの傘下に入るものの、経営悪化で離脱することになりますが、MINIのブランドは現在のBMWへと引き継がれる形で残ります。
ここでは、各社の時代のMINIはどのような位置付けの車であったのかをご紹介していきます。
BMC
MINIの歴史が始まったのは1959年。イギリスのBMC(ブリティッシュモーターコーポレーション)に所属していたアレック・イシゴニスによって生み出されました。
当時のイギリスの車社会はというと、1956年のスエズ動乱の影響を受け、深刻な石油危機に直面している最中でした。
当時の大衆車はサイズが大きく重い設計でしたので、燃費の面で大きな問題を抱えていました。
そこでBMC(ブリティッシュモーターコーポレーション)では、技術者のアレック・イシゴニスを筆頭に、広々とした4人乗り座席を維持したまま車体サイズを出来るだけコンパクトにまとめた新しい大衆車の開発を進めていきます。
そうした中で生まれたのがMINIでした。
登場当初は「MINI」という名前ではなく、BMCが販売していた戦前の小型乗用車「モーリス・マイナー」の名前を受け継ぐ形で、「モーリス・ミニマイナー」と「オースティン・セブン」という2つの名前で販売されています。
クラシックMINIは、乗用車で初のFF+横置きエンジンという、乗用車で初めてのレイアウトを採用したことに加え、コンパクトな箱型ボディや、丸目のヘッドライトの採用など、至る所に斬新なアイデアを取り入れた革新的な車でした。
あまりにも奇抜な存在だったため、発売当時は人々に受け入れられるのに時間が必要でしたが、やがて「MINI」の愛称で親しまれるようになっていきます。
当時のイギリスは、階級に関係なく誰もが容認される大衆文化へと変わっている最中でしたので、ユニークで独創的なMINIは、時代を象徴する車として若者を中心に人気が広まっていきました。
また、ロンドンでは車の所有人口が増えるにつれ、次第に交通量が増えてきたため、コンパクトで大人が4人乗れるMINIは、使い勝手が良い車として高評価を得ていました。
ローバー
1986年になると、ブリティッシュ・レイランドから発展したオースティン・ローバー・グループが「ローバー」へと社名を変えると、MINIも「ローバーMINI」へと名前を変更します。
この頃のMINIは成熟期を迎えており、基本コンセプトはそのままに、さらに幅広いユーザーのニーズに答えられるよう様々な仕様のモデルが登場していました。
ベーシックグレードの「メイフェア」やラグジュアリー仕様の「ケンジントン」、そしてスポーツグレードの「クーパー」。
「チェルシー」「リッツ」「ピカデリー」「サーティ」「スカイ」「ローズ」など、ユニークな名前が付けられた特別仕様車も次々と登場しました。
また、この時代の「クーパー」は、ジョン・クーパー・ガレージでチューニングされた本格的なスポーツモデルとして販売されています。
こちらもモンテカルロ・ラリーのスタイリングが施された限定モデルなどが販売されており、高い人気がありました。
BMW
2001年に登場したBMW MINIは「新生MINI」と言われるように、これまでのローバーMINIよりも大きくパワフルに進化しています。開発段階ではクラシックMINIとは似ても似つかない近未来のデザインのコンセプトカーが作られることもありましたが、最終的にBMWが選んだのは、古き良き伝統を重んじたクラシックMINIのデザインコンセプト。
これまでのMINIブランドを最大限に活用しつつ、現代の消費者のニーズも踏まえ「プレミアムコンパクトカー」という路線へと舵取りを行います。
タイヤを四隅に配置した2ボックスタイプをベースとし、大型グリルや丸めのヘッドライトもしっかり継続。
ひと目見てMINIだとわかるような愛くるしいデザインのローバーMINIは、BMWの手によって見事に現代風にアレンジされました。
また、BMW MINIはオープンタイプの「コンバーチブル」やSUVタイプの「クロスオーバー」など、様々なボディタイプがラインナップされています。
さらに「ディーゼルエンジン」や「プラグインハイブリッド」など新しいパワーユニットを搭載したモデルも登場。時代の最先端を進むブランドとして成長を続けています。
ローバーMINIとBMW MINIの違い
ローバーMINIは「クラシックMINI」とも言われる先代から40年間続いた歴史的なモデルです。
コンパクトでお洒落なスタイリングから、ビートルズやポールスミスなど多くの著名人にも愛されていました。
そしてこのローバーMINIコンセプトを引き継ぎ、さらに「プレミアムコンパクトカー」へと昇華させて登場したのが「BMW MINI」です。
BMW MINIは歴史あるMINIブランドのアイデンティティはそのままに、新たに現代のBMWが持つパワートレインや先進安全技術などが盛り込まれたプレミアムモデル。
登場当時の販促キャンペーンで提唱された「個性・感動・魅力・楽しさ」の言葉がぴったりと当てはまる魅力溢れるモデルとなっています。
BMW MINIとして生まれ変わったMINI
MINIを生産していたメーカーの移り変わりや、各社でのコンセプトについてご紹介させていただきました。
BMWから発売された現在のMINIだけで見ても、過去のものも合わせると14種類もあります。
それぞれモデルやグレードも豊富にラインナップされていますので、お探しのものがきっと見つかるはずです。
ぜひ実車を見たり試乗したりして、ご自身のライフスタイルに適したミニを探してみて下さい。
試乗も承っておりますので、お気軽にご相談ください。