まるで小さな巨人⁉これまでのMINIのレースの歴史や活動について

独特でお洒落なデザインと高い実用性を備えたBMW MINI。BMWブランドの「プレミアム・コンパクト」として位置付けられ、世界中で高い人気があります。

現在のBMW MINIのルーツは、1959年のBMC時代に登場した「クラシックMini」にまで遡ります。

当時の「クラシックMini」は、コンパクトでありながら、高い実用性を備えた大衆車としてイギリスで多くの人々の足を支えていました。

また、極限まで無駄を省いた「クラシックMini」は、当時の予想を上回る運動性能を発揮し、モータースポーツの分野でも数々の栄光を残しています。

そこで今回は、MINIのレースの歴史について詳しくご紹介していきます。

MINIのレースの歴史は1960年の「クラシックMINI」から

冒頭でご紹介した通り、初代「クラシックMini」は1959年に登場しました。

当時のBMCはスエズ危機により経営が悪化している最中で、国民の手に渡りやすいスモールカーの開発が急がれていました。

そこでBMCに所属するアレック・イシゴニス氏は、このプロジェクトを実現させるために、コンパクトな量産車「ADO15(クラシックMiniの開発名)」を開発。「オースティン・セブン」「モーリス・ミニマイナー」として世に出します。

そして初代Miniのレースの歴史は、「クラシックMini」が登場した翌年1960年のモンテカルロ・ラリーからスタートします。当時は6台のMiniがレースにエントリーし、総合23位という結果を残しました。

しかし、当時の「クラシックMini」の排気量は850ccと小さく、これ以上の成績を残すためにはパワーアップが必須条件。ところが、当時のBMCのチューニング技術では、これ以上出力が伸ばせない頭打ちの状態となっていました

そこで登場したのが、後に伝説的なエンジニアとして語り継がれるジョン・クーパー氏です。

MINIの能力をいち早く見抜いたジョン・クーパー氏が作った「MINIクーパー」

ジョン・クーパー氏は、レーシングカーのコンストラクター「クーパー・カー・カンパニー」の2代目。若かりし頃からエンジニアとしてのノウハウを受け継いでいる技術者でもありました。

ちなみに「クーパー・カー・カンパニー」は1956年にF1に参戦し、1959年、1960年には2年連続でコンストラクターズチャンピオンに輝いています。

そして1958年には、当時友人であったイシゴニス氏を通し、BMCからフォーミュラ用のエンジンを供給してもらっていました。

そんなある日、ジョン・クーパー氏は、イシゴニス氏から当時開発中だった「クラシックMini」の試作車を試乗。そのハンドリングの良さと、操縦安定性に驚きます。

そして「クラシックMini」のデビュー後、ジョン・クーパー氏はイシゴニス氏に借りた1台のMiniに専用チューニングを施し、「スポーツモデルとして販売しないか」とBMCに打診します。

BMCは、F1チャンピオンという実績を積んでいる「クーパー」ブランドが十分な販売戦略となると判断。そして登場したのが、スポーツモデルの「Mini クーパー」です。

「MINI クーパー」はラリーを中心に数多くの栄光を獲得

「Mini クーパー」が販売されてからは、BMCが未舗装路のラリーレースに参戦し、クーパー・カー・カンパニーが舗装路のサーキットレースに参戦するという、分業制でレース活動が行われます。

そして1962年にオランダのチューリップ・ラリーに参戦し総合優勝。同年にはBRSCCの「ナショナル・サルーンカー・チャンピオンシップ」でも優勝。ラリーとサーキット両舞台できっちりと結果を残します。

翌年にはレースカテゴリーに適合するよう排気量を大きくした「Mini クーパー S」を導入。1964年のモンテカルロ・ラリーでの総合優勝に加え、サーキットトラックでは「ヨーロピアン・ツーリングカー・チャンピオンシップ」で優勝も勝ち取ります。

モンテカルロ・ラリーでの勝利がMINI人気に拍車をかける

数々の栄光の中でも、とりわけ語り継がれているのは、真冬の過酷な条件下で開催されるモンテカルロ・ラリーでの勝利だと言えるでしょう。

1964年に初の総合優勝に輝くと、翌年の1965年にも優勝。

1966年は1〜3位まで独占したものの、ヘッドライトのレギュレーション違反により失格となりました。しかし逆にこの出来事が、より大きな注目を得るきっかけにもなっています。

そして1967年には見事総合優勝を奪還し、雪辱を果たします。

このように、「クラシックMini」はレースの舞台で数々の栄光を勝ち取り、世間にそのポテンシャルの高さを存分にアピールしていきます。

また、当時の「クラシックMini」は、ロイヤルファミリーや著名人も所有するようになると、イギリス中で注目される国民車へと成長を遂げていきます。

BMW MINI になると「最も過酷なモータースポーツ」ダカール・ラリーを中心に活躍

長年イギリスの国民車として存在し続けていたMiniは、2001年にBMWの傘下となり、「BMW MINI」として生まれ変わります。

「クラシックMini」時代はコンパクトで切れ味鋭いハンドリング特性を生かし、主にラリーを中心に活躍していました。

もちろん「BMW MINI」となってからも「クラシックMini」時代のレース史を引き継いでいきます。

2011年にはイギリスのレーシングコンストラクターの「プロドライブ」がBMWワークスとしてWRCに参戦。翌年の2012年にはWRC仕様のジョン・クーパー・ワークスが、モンテカルロで総合2位の成績を収めます。

同年2月にプロドライブとBMWの関係は決裂し、WRCの参戦計画は頓挫しますが、同時期にラリー・レイドに参戦していたドイツのレーシングチーム「X-raid」が、「BMW MINI カントリーマン」でラリー・レイドの参戦を開始。

「世界一過酷なモータースポーツ」と称されるダカール・ラリーで、2012年〜2015年にかけて4年連続勝利を収めます。

この時代に参戦していた車両は、それまで参戦していた「BMW X3」の基本設計である鋼管フレームをベースに、外観をカントリーマンに仕立てたものでした。

2017年には完全新設計の「ジョン・クーパー・ワークス・ラリー(JCWラリー)」が投入され、2020年、2021年シーズンに2連覇も果たします。

そして2023年には新規定「グループT1+」のレギュレーションに準じた「JCWラリー+」が投入され、現在も活動が続けられています。

オーナー向けレース「MINI CHALLENGE RACE」も開催

ここまでは、メーカーとしてのレース参戦が中心のお話をさせていただきましたが、実は「BMW MINI」の販売以降、MINIのオーナー様を対象とした参加型のレースも主催されています。

年から始まった「MINI CHALLENGE RACE」は、MINI発祥の地イギリスの主要サーキットを舞台に行われるワンメイクレース。

エントリー費用を抑え、クラスも細かく分けられているため、誰でも気軽にレースに参戦することができます。

また、このレースは自身の愛車でF1が開催されるサーキットや、歴史や伝統のあるサーキットを走ることができるため、現地のMINIオーナーから高い人気があります。

日本国内でも「MINI CHALLENGE RACE」が実施されています

イギリスで行われている「MINI CHALLENGE RACE」は日本でも開催されています。

イギリス本国の「MINI CHALLENGE RACE」を元に 「MINI CHALLENGE JAPAN」として2017年からスタート。2019年にはBMWジャパンの公認レースとなり、現在はJAF公認レースにまで発展しています。

そして現在は「MINI CHALLENGE JAPAN」から、BMWグループのオフィシャルレースに統合され、「BMW & MINI Racing」として開催されています 。

クラスはBMW M2CSRの「M2CSR」と、BMW MINIの「JCW」「クーパーS」の3つに分けられ ており、こちらも鈴鹿サーキットや富士スピードウェイなどといった国際規格のサーキットが舞台となります。

また、イベントやホスピタリティも充実しており、レースウィークを通して参加者全員がお楽しみいただけるようになっているのもこのレースの醍醐味。

ちなみに当社ダイワグループも、社内活動の一環として、このシリーズ戦に参戦しております。

2022年までは「MINI CHALLENGE RACE」の「クーパーS」クラスに参戦し、(2023年はスポット参戦となります)「BMW & MINI Racing」となった現在は「M2CSRクラス」に参戦しております。

レースの詳細はこちら

レースでも活躍するBMW MINIをぜひドライブしてみてください

コンパクトな大衆車というコンセプトの元に生まれた「クラシックMini」。

持ち味の「ゴーカートフィーリング」をいち早く見抜いたジョン・クーパー氏の手によって、様々なレースで活躍するレーシングカーとしての才能を発揮するようになりました。

「BMW MINI」になった今も、その持ち味を生かし、ラリーを中心に活躍を続けています。

もちろんこれまでレースシーンで培ってきた技術は、現行モデルにもフィードバックされています。

Toto MINIの店舗では、BMW MINIの試乗車もご用意しております。ぜひ実際にハンドルを握っていただき、その高い走行性能を存分にご体感ください。

 

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